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新卒(DeNA)が 1 年目に 131 冊読んだ本の厳選 5 冊 (前編)

今回のブログでは 2019 年新卒が 1 年間で本を 131 冊読んでその中から最高によかった 5 冊を厳選して紹介します。

僕が大学院時代の時には一冊の本を 3 週間から 4 週間、約 1 ヶ月ぐらいかけて本を読んでいました。 またその時々で見たいなあと思った本を適当に選んで読んでいましたが、大学院を卒業後社会人としての 1 年目にたくさんの本を読んだことで本の読み方とかも少しずつ分かってきました。

思い返せば、3 日に 1 冊読んでいる計算になります。だらだらと本を読んでしまう人の気持ちがとても理解できるので、それに対しての記事はまた書こうと思います。

さて 131 冊の中の厳選された 5 冊ですが、個人的ベスト 3 と 睡眠に関する本の中から 2 冊選び抜いて紹介しようと思います。

まずは睡眠本ベスト 2 冊!!

このブログは私の個人的な嗜好の本 onemuri.space という名前で、エンジニアリングの合間に睡眠に関することを執筆しています。

人生の早い段階で一回読んで、自分の人生の大半を占める「睡眠」について考えてほしい!読む時間がない人はこの後紹介する文を読んで今日の睡眠から改善しようかな?と思ってほしい!そんな気持ちを込めて睡眠の本を 2 冊紹介します!!

睡眠本ベスト 1 は 「ヒトはなぜ人生の 3 分の 1 も眠るのか?」

世の中にはたくさんの睡眠本があります。かくいう私自身は 30 冊ほど amazon で購入して読んでいます。その中でダントツに面白かった本です。

ヒトはなぜ人生の 3 分の 1 も眠るのか?(日本語)
出版年: 2002/7/25
出版社: 講談社

ヒトはなぜ人生の 3 分の 1 も眠るのか?」は一般向けの睡眠の本の中では少し難易度が高いのですが、読み応えのあって、睡眠のことを自分に置き換えて考えられる本です。

なぜか?

睡眠負債と言う言葉を作ったウィリアムC・デメント教授が執筆した本だからです!

あなたは睡眠負債という言葉を聞いたことがありますか?

日本では睡眠不足の国として有名で、ニュースや記事などでもよく使われる言葉なので知っているかもしれません。OECD(経済協力開発機構)の世界の平均睡眠時間調査では 2014 年の日本の平均睡眠時間は下から 2 番目です。最下位の韓国と比べても 2 分しか変わらないことを考えると、日本の睡眠不足はかなり!深刻な状況です。

参照: https://www.nishikawasangyo.co.jp/company/laboratory/topics/01/

そんな睡眠負債という言葉を作ったデメント教授が、睡眠障害の恐ろしさと、良い睡眠と悪い睡眠、そして健康な眠りを取り戻すための実践的な方法を説明してくれる点が、睡眠の本としてとても良い構成です!!!

少し古い内容もあるかもしれませんが、この本を読めば睡眠について日本の上位 10%ぐらいの知識を得ることができると思います。(専門の方は抜かします)

ウィリアム C・デメント教授によって睡眠負債という言葉が作られた

ヒトはなぜ人生の 3 分の 1 も眠るのか?」は睡眠負債と言う言葉を作ったウィリアムC・デメント教授によって執筆された本なのです。

睡眠負債はsleep debtと表現されます。debt。この表現はとても重いです。債務や負債、借金と言う意味を持ちま。借金や負債は貯めてしまうと返さなければなくならないことは当たり前ですが、これは睡眠においても例外ではないです。

例えば、毎日 8 時間寝ている人が 5 時間しか睡眠を取らなければ次の日は快調に過ごすことができなくなりますが、日本は毎日 1~2 時間ずつ負債を貯めて行く人が多いのです。

睡眠負債を測定する

本書で紹介された眠気(睡眠負債)を測定する手法を紹介します。

睡眠潜時反復テスト(MSLTテスト)

睡眠潜時は日中の眠気から眠りに落ちるまでの時間です。

睡眠潜時反復テストの手順は簡単です。(が、専門家によって睡眠状態を判断してもらわなければならないので、個人では難しいと思います)

  1. 午前 10 時、正午、午後 2・4・6 時に睡眠潜時の時間を計測
  2. 睡眠潜時が 0~5 分の間に入ると極端な睡眠傾向と判断

手順はたったこれだけです。ですが、眠気を誰の目にも明らかにすることができるという点において大きな睡眠科学の一歩前進をすることが可能になったのです。

ちなみに、個人で測定するのは難しいと書きましたが、他の本ではスプーンを握った状態でベッドに横になり、寝たらスプーンが落ちてその落ちた音で起き、その間の時間を計測する。と言う方法で頑張って計測することが可能らしいです。

私は無理でしたが。w

不眠記録のギネスの立会人

デメント教授はサンディエゴの高校生であるランディ・ガードナーの不眠記録のギネス挑戦に立ち合い、見事に 264 時間(11 日間)の不眠時間ギネス記録を打ち立てました。

デメント教授は、睡眠剥奪においても有名な先生で、ガードナーさんが 11 日の間に剥奪された 75 時間の睡眠についても興味を持って調査しながら協力していたらしいです。

なんとなく想像できましたが、75 時間睡眠が剥奪されたからといって、その後に 75 時間睡眠を取らないと活動できないわけではないというところが人間の不思議なところですね。ガードナーさんはギネス挑戦後、14 時間 40 分の睡眠で起床し、活動を再開したのです。

睡眠って現代でも未知なことばかりということを本や記事に書かれる先生が多いのですが、なぜ睡眠が必要なのか未だに分からないことばかりなのは本当に面白いですよね!分からないことを一つずつ愚直に解き明かすために研究してきたデメント教授の話がわかるとてもいい本なのでぜひお読みください!

睡眠本ベスト 2 は 「スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣」

日本が誇る睡眠研究の第一人者である西野先生が執筆した本で、一般向けの睡眠本として最も読みやすく、多くの本が述べている内容を網羅した一冊です。正直、この本読めば、睡眠のことについて一般人としてドヤってもいいと思います。

そして、ベスト 1 でも紹介したヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?と合わせて読むことで日本において睡眠の知識が上位 5%ぐらいまで高めることができ、かつ、睡眠知識を盤石の体勢に仕上げて行くことができる良書だと思います。

全く睡眠のこと知らないんですよね〜って人は、この本を 1 冊目にするのが正解だと私は思っています。

スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣 出版年 2019/1/15
出版社: PHP 研究所

本記事を執筆しているのは 2020/5 ですが、比較的最近の西野先生の著書でヒトはなぜ人生の 3 分の 1 も眠るのか?以降の睡眠研究のことについても知ることができるので、知識の補完や穴埋めができます。

熟睡の習慣から学べるポイント

本書の良い点は睡眠に関する沢山のトピックを網羅的に紹介してくださる点です。その分深く説明することが難しくなるというデメリットがありますが、一般人がそこまで知る必要があるかと言われれば、現時点では No だと思うのでメリットしかない本だと思っています。

せっかくなのでポイントだけ列挙しておきます

  • 睡眠時間と肥満
  • 寝具と睡眠の質
  • 睡眠時間と死亡率
  • 睡眠と照明
  • 睡眠と経済損失
  • 睡眠と体温
  • 年齢別のレム・ノンレム睡眠
  • 睡眠物質メラトニン
  • 分割睡眠
  • ショートスリーパー
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 体内時計
  • 西野先生が感動した小学校低学年児童への睡眠教育「みんいく」
  • 西野先生が愛用する素材「シンサトーレ」

一部ですが、たくさんのトピックを含んでいることは理解していただけたと思います。

ちなみに、睡眠と体温については、本ブログにて睡眠とお風呂という記事を執筆しているのでぜひ読んでみてください。

せっかくなので、この中から「睡眠時間と肥満」、「年齢別のレム・ノンレム睡眠」について軽く紹介しておきます。

睡眠時間と肥満

端的にいうと、睡眠時間が短くても長くても肥満度(BMI 値)が高くなるということです。

アメリカで 100 万規模の疫学調査によって明らかになったことです。下図の左側は女性で右側が男性の結果です。

特に、女性は睡眠時間が 7 時間の場合に BMI が最も低くなり、それよりも短かったり長かったりすると BMI が高くなる傾向にあります。

Mortality Associated With Sleep Duration and Insomnia
Mortality Associated With Sleep Duration and Insomnia

参照: Mortality Associated With Sleep Duration and Insomnia

年齢別のレム・ノンレム睡眠

人間の睡眠には REM と non-REM 睡眠が存在します。REM は Rapid Eye Movement の略称で、寝ている時に目が細かく動く現象のことです。これは睡眠が浅い時に起こる現象で、人の睡眠中は REM と non-REM 睡眠を繰り返しています。

夢は REM 睡眠の時によく見ると考えられていますが、REM 睡眠の時にはいろんな記憶の整理をするために断片の情報がつながっている様に脳が捕らえて、ありえない夢が誕生していると考えられています。

non-REM 睡眠の時には、いわゆる熟睡という状態です。いくら呼んでも起きない人が近くにいませんでしたか?それは non-REM 睡眠の状態だった可能性が高いと考えられます。

そんな REM、non-REM 睡眠ですが、若い時ほど REM 睡眠が多いことがわかっています。赤ちゃんの頃は睡眠の内半分は REM 睡眠が占めているみたいです。だから、いきなり起きることが多く、夜中でも起きて泣くことが多いのかもしれませんね。

Ontogeny of Sleep
Ontogeny of Sleep

参照: Ontogeny of Sleep

ちなみに、私の愛する猫様は頻繁に睡眠をとりますが、1 日の中で 13~14 時間ほど寝ているらしく、その睡眠の状態を測定すると REM 睡眠の割合が圧倒的に多いみたいです。狩りをしていた野生の猫の遺伝子が残っているのかもしれません。

ちなみにちなみに、non-REM 睡眠のステージは現在 4 つに分けられています。

  1. 頭蓋頂一過性鋭波
  2. 睡眠紡錘波および K 複合
  3. 低振幅徐波が出現
  4. 低振幅徐波が出現

ステージ 3、4 の段階は徐波睡眠と呼ばれています

参照: 厚生労働省 e-ヘルスネット ノンレム睡眠

たった 2 つ分のトピックを簡単に説明しただけでも、へぇー!となる様なことばかりではありませんか?ぜひスタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣読んでみてください!

後半へ続く

睡眠の本のベスト 2 いかがだったでしょうか?これは読むしかなくないですか?特に熟睡の習慣は文量的にも内容的にもスラスラ読める本なので週末 2 時間もかからずに読み切れると思います。

そして、睡眠の本ベスト 2 を紹介するだけでも力が入りまくったので、総合ベスト 3 は後半へ持ち越そうと思います。

後半へ続く…

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